14/ 10/ 2022
パソコンを今日は開かないから書かないでおこう…というのも、もちろんいいと思うけれど、それが続いて、「大したコト」じゃないと書くに書けないよ、とヘンに気を張っていくようになるくらいなら、前までのように何の内容もないと思っても、ただおやすみを書くためだけにでもこれを開いていいと思った。今朝、ひさしぶりに。
昨晩21:30に寝て、今朝5:30に起きた。昼に近いときにばかり目を覚ましていた日が多かったので、毎度朝ってきれいだなと思う。
昨日夕方、日が暮れて夜になっていく過程を、歩いて電車に乗って眺めていた。「もうこんなふうに、いつもの夜がこなかったら、どうするかな」と思った。
今日のこの夜以降、もうめっきり夜がこなかったら
そう知らされたら、最後の夜を楽しむかな
しんじねーぞ!って言って、夕方の時間になってみて、ほんとうだった…って茫然とするかな
とりあえずずっと昼だったらやってみたいななんてことを思いついてそれをやろうとするかな
夜が来てくれる癒しをわたしはありがたく思っているから、ちゃんと夜が来てくれることにすこしほっとしているんだと思う。昼があるから夜はうつくしく、夜があるから昼はうつくしい。それを今また実感する。
と同時に、ここが昼だけだったら、どこかは夜だけ、ってコト?!というような頓珍漢なことも思い浮かんで、自身の宇宙像のようなものを問い直す。
今朝、中国語のラジオをスマホから聞いてみて、オランダで一緒に働いた5、6人の中国語話者を思い出していた。中華系だけど、カリブ海のオランダ植民地Sint Maarten島、だったかなの出身の同い年世代の兄弟だったり、中国本土から稼ぎのために来ている人だったり、香港出身で、大虐殺が原因でカナダに逃れていたこともあったという人だったり…。またオランダで会った人たちについても書きたい。 というのも、ほんとうにいろんな国の出身の人に会ったからだ。中南米の人にも割とよく会って、わたしはそれもあって、なんだか中南米に惹かれるようになってしまった。会う人会う人みんなすごくチャーミングなのだ。
なんでだろう?ほんとうにどの人も、出身国とかもみな同じではないのに、誰を思い出してもすこしキュンと胸が躍るような気持ちになる。みなどこか人懐っこくて、楽しいことがすき、という感じがあった。でもどこか堅実な感じもする人が多かった。
特にコロンビア出身の15、6歳の男の子はいつもよく思い出す。
最初に必死で働き始めさせてもらったオープンしたてのレストランで会った子だ。その店は持ち帰りかデリバリーしかしておらず、その子はデリバリーボーイだった。オランダはよく雨風があったから、デリバリーボーイは苛酷な仕事に見えることが多かった。
その子ははじめのうちは、他の従業員、デリバリーボーイたちとは楽しそうに接するけれど、新入りの、オランダ語も話せないわたしには、近づいてこない、ぶっきらぼうにする、大きなネコみたいだった。身長はゆうに180cmはあった。
他の子たちとケラケラ笑いながらバックヤードに入ってきたその子が、わたしと目が合って、「くそ、笑ってるとこ見られた」とでも言うように、チっといやそうな顔で斜め下を睨んだときは、おもしろいなー、いつか仲良くなれるかな、という気持ちがあると同時に、おお…、2、3週間くらいあれば、仲良く…なれるかな、と思い直したりした。
しかしそんな彼だけれど、思ったより早く打ち解けて、よくニコニコと近づいてきて、ゲームやアニメの話をしたり、スペイン語でバカという言い方を教えてくれたり、やっているスマホゲームをやらせてくれたり、近くで歌ったり踊ったり、おどけたり冗談を言ったりするのは日常茶飯事だった。
そのレストランは複数いるオーナーの采配がカオスで、従業員はキッチンスタッフもデリバリーボーイもしょっちゅうクビになっていたから、最終的に3ヶ月ずっと一緒にいられた私たちは、クビにされた元バイトリーダーたちのことなどについて共有する思いがあったのもあって、どこか姉弟のような親しみもあった。
わたしがカオスさに耐えかねてそのレストランをやめて、私自身もまた他の弁当屋さんでデリバリーをしているときに、お互いチャリでデリバリー中という状況でその子がわたしを追い抜いて、振り返って「よ」ってピースかグッドサインをしながら笑ってくれたときは、なんだか嬉しくて泣いてしまいそうになった。すこしあの町が恋しい。
意外なくらいなのだが、その子とは連絡先を交換しておらず、また会えるかわからない。でもスペイン語に触れたり、南米を思うとき、いつも思い出す人のひとりなのである。